こんにちは!元公務員のろびんそんです!
この記事では、施設トマト栽培で気を付けたい病害・虫害を5つ紹介します。
施設トマト栽培でよく見かける病害虫から、一度出してしまうとハウス中に広がってしまう恐ろしい病害虫まで幅広く解説します。
それでは、さっそく見ていきましょう!
第5位:かいよう病
かいよう病の症状
出典:タキイ種苗株式会社HP
かいよう病にかかったときの様子です。
最初は下の方の葉がしおれる&葉の縁が茶色くなります。
葉のしおれ・枯れが目立ってくると、根元の茎が茶色くなってきます。
根元の茎をカッターナイフで割ってみて、茎の中まで茶色くなっていたらかいよう病で間違いないです。
土壌伝染&樹液感染するので、周りの株もどんどん枯れていってしまいます。
そしてハウス中に広がることもある恐ろしい病害です。
かいよう病の防除方法
まず、かいよう病の株を見つけたら
- かいよう病の株を抜く(根を切らないように土ごと!)
- 農薬を散布する
- ハサミ・手袋などの資材を消毒する
- ハウス内の湿度を下げるために、換気などをする
まずはこの4つを徹底しましょう!
かいよう病の病原菌はバクテリア(細菌)なので、農薬は「カスミンボルドー」や「クプロシールド」などの銅剤で防除しましょう。
「クプロシールド」は、従来の銅剤に比べて汚れが目立ちにくいので、個人的にオススメです!
ハサミなどの資材を消毒するときの薬剤は、「ケミクロンG」などの資材消毒用の農薬を使用します。
次のシーズンに向けての対策としては、
- 土壌消毒(太陽熱消毒や土壌還元消毒が◎)を行う
- 耐病性台木の苗を買う
土壌消毒は、太陽熱消毒や土壌還元消毒がオススメです。
そして耐病性台木の苗は必ず使いましょう!
耐病性台木を使っても病害が出てしまう場合がありますが、全く使用しないと下手したら全滅してしまいます。
第4位:えき病
えき病の症状
出典:こうち農業ネット
えき病は、冬の寒い時期に雨が続いたりすると出る病害です。
はじめのうちは、葉が灰色と茶色を混ぜたような色になるのが特徴です。
次第に、茎も茶色くなります。
ひどくなると白いホワッとしたカビが表面に生えてきて、やがて枯れます。
夏にはまず出ない病害なので、冬にこのような病害が出たら「えき病」です。
多湿条件で発病するので、ハウスの谷部分でよく見られるのも特徴です。
えき病の防除
えき病の株を見つけてしまったら、
- えき病の株を抜く
- 農薬を散布する
- ハウス内の湿度を下げる
農薬は、「リドミルゴールドMZ」で大丈夫ですが、この農薬は2回しか使えないのが注意点です。
そして、さらなる被害を防ぐために、ハウス内の湿度を下げます。
換気を増やしたり、かん水の頻度を減らしたりしましょう。
第3位:灰色かび病(はいいろかびびょう)
灰色かび病の症状
出典:あいち病害虫情報
灰色かび病も、冬の寒い時期&多湿条件で出やすい病害です。
葉や茎には、灰色の病斑が出ます。
果実には、はじめ白いリング状の病斑(ゴーストスポット)が出て、その後に灰色の病斑が出ます。
よく見かける病害ですが、枯れてしまうのは稀なので深刻度は低めです。
灰色かび病の防除
灰色かび病の葉や果実を見つけたら、
- 病斑のある葉や果実を取り除く
- 農薬を散布する
- ハウス内の湿度を下げる
病斑が茎に出て株全体に広がっている場合は、株ごと抜き取りましょう。
農薬ですが、灰色かび病に適用がある農薬はたくさんあります。
ポイントは、様々な系統の農薬を使って定期的に散布することです。
たとえ、よく効く農薬に巡り会えたとしても、その農薬はすぐに効かなくなります。
なので、1つの農薬を使い続けるのではなく、色んな系統の農薬を少しずつ使いましょう!
そして、ハウス内の湿度を下げるために換気もします。
第2位:黄化葉巻病(おうかはまきびょう)
黄化葉巻病の症状
出典:あいち病害虫情報
黄化葉巻病は、「タバココナジラミ」という白い小さな虫によって媒介されるウイルス病です。
黄化葉巻病になると、成長点あたりに黄色いモザイク状の病斑が出てきます。
この病害の恐ろしいところは、成長点が黄色くなった時点でそこで成長が止まってしまうことです。
成長が止まってしまうと、当然、果実も実りません。
タバココナジラミによって媒介される病害なので、ハウス中に広がり全滅することもあります。
黄化葉巻病の防除
黄化葉巻病の株orタバココナジラミを見かけたら防除します。
- 黄化葉巻病の株があれば除去する
- 農薬散布を行う
急ぎでやる防除は上の2点です!
タバココナジラミに適用がある農薬はたくさんあるので、色んな系統の農薬を定期的に散布しましょう!
そして、次のシーズンに向けては、
- 株を撤去する前に、真夏にハウスを密閉してタバココナジラミを殺す
- ハウスの開口部に、目合いが0.4mm以下のネットを張る
これをやらないと、次のシーズンもコナジラミまるけになってしまいます。
タバココナジラミの防除を徹底しましょう!
第1位:青枯病(あおがれびょう)
青枯病の症状
出典:農研機構 病害虫被害画像データベース
トマト栽培でいちばん出したくない病害です。
かいよう病と同じように、土壌伝染&樹液伝染するのでハウス中に広がってしまう場合が多いです。
日中しおれて夜に回復する、というのを繰り返して、だんだん萎れが株全体に広がります。
ただの水分不足と見分けがつかないのが、この病害のやっかいなところです。
青枯病の場合は、「なぜか1本だけ萎れるな~」と思って気付くことが多いです。
青枯病っぽい株を抜き取って、根元の茎を切断して水につけると↓のような白濁液が出るのが特徴です。
水につけるときは、透明の入れ物でやると分かりやすいです。
出典:あいち病害虫情報
青枯病の防除
急ぎでやる防除は、
- 青枯病の株を抜く(根を切らないように土ごと!)
- ハサミ・手袋などの資材を消毒する
まずはこの2点です。
残念ながら、青枯病の特効薬はありません。
なので、株の抜き取りと資材消毒は徹底してやりましょう!
資材の消毒は、「ケミクロンG」などの資材消毒用の農薬を使用します。
そして、次のシーズンに向けての対策がとっても大事です!
- 土壌消毒(太陽熱消毒や土壌還元消毒が◎)をやる
- センチュウ対策もやる
- 土壌の排水性を良くする
- 耐病性台木の苗を買う
土壌消毒は、太陽熱消毒や土壌還元消毒がオススメです。
センチュウ対策は、「ネマキック粒剤」などの農薬を定植するときに使いましょう!
土壌の排水性を良くするために、大がかりではありますが・・・
暗渠(あんきょ)や明渠(めいきょ)を掘るのも良いです。
土壌中の水分の急激な増加も、青枯病の原因です。
排水のルートを確保することも重要です。
そして耐病性台木も必須です。使用しても発病する可能性はありますが、使用しないと全滅してしまう恐れがあります。
青枯病の防除方法は、農研機構がよく研究しています。
新しい防除技術が開発されたりするので、農研機構の情報もチェックしてみると良いかもしれません。
さいごに
トマト栽培で気を付けたい病害虫を5つ紹介しました。
よく見るものから、ハウス中を破滅させるような恐ろしいものを説明しましたが、どの病害も「早期発見」がポイントになります!
トマトを栽培してて、もしこれらの病害虫を発見したら早めに防除するのが大事です!
判断に迷う場合は、地域の普及指導員に連絡して、診断してもらいましょう。
普及指導員は農薬の情報だったり、最新の防除技術の情報を握っています。
早めに助けを求めましょう!