コンプラ・不祥事 PR

公務員は選挙で投票できる?公務員が選挙でできること&できないこと

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

こんにちは!元公務員のろびんそんです。

公務員が選挙運動を行うことは制限されているので、「公務員の自分は投票することもできないのかな?」と思う方も多いですよね。

実際、私も公務員になったばかりの頃は・・・

公務員1年目の
ろびんそん

公務員って確か選挙運動ダメだったよね?投票もダメなのかな?

政治系の話題だからか、職場の人にも聞けずにいました。

この記事では、「公務員は投票に行けるのか」という簡単そうで難しい問いを、法律に基づいて分かりやすく解説していきます。

この記事はこんな人にオススメ
  • いま公務員の人
  • 将来公務員になりたい人
  • 公務員の選挙運動の制限について知りたい人
  • 公務員は投票できるのか知りたい人
  • 難しい法令を分かりやすく解説しているサイトを探している人

公務員にも選挙権はある?

「公務員は選挙で投票できるのか?」

結論から言うと、日本国民で18歳以上であれば原則投票できます。

公職選挙法では、選挙権を有する人と有しない人の条件を定めていて、どちらの条件も「公務員であること」に関して触れていません。

公職選挙法に定められている要件を詳しく見てみましょう。

選挙権を有する人の条件

公職選挙法では、選挙の種類ごとに選挙権を有する人の条件を定めています。

条件の詳細はコチラ↓

衆議院議員・参議院議員の選挙日本国民で満18歳以上の人
知事・都道府県議会議員の選挙日本国民で満18歳以上の人
+引き続き3か月以上その都道府県内の同一の市区町村に住所のある者
市区町村長・市区町村議会議員の選挙日本国民で満18歳以上の人
+引き続き3か月以上その市区町村に住所のある者

参照元:公職選挙法|e-Gov法令検索

日本国民で18歳以上であることと、住所地の条件を満たせば、選挙権が与えられることが分かります。

選挙権を有しない人の条件

次に、公職選挙法での選挙権を有しない人の条件を見てみましょう。

  1. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの人
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を受けることがなくなるまでの人※刑の執行猶予中の人を除く
  3. 公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後5年間を経過しない人or 刑の執行猶予中の人
  4. 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の人
  5. 公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権・被選挙権が停止されている人
  6. 政治資金規正法に定める犯罪により、選挙権・被選挙権が停止されている人

参照元:公職選挙法|e-Gov法令検索

選挙権がないのは、禁錮以上の刑になった人や、特定の犯罪で選挙権・被選挙権が停止されている人であることが分かります。

6つの項目の中で当てはまる項目がある場合、公務員であっても、公務員でなくても、選挙権はありません。

公務員に禁止されている選挙運動には何がある?

バツ印を掲げる男性の写真

公務員に選挙権はありますが、選挙運動に関しては厳しく制限されています

具体的にどんな選挙活動が制限されているのか、詳細をみてみましょう。

公務員の選挙運動に関して触れている法令は、主に以下の4つ。

法令
  1. 国家公務員法
  2. 人事院規則
  3. 地方公務員法
  4. 公職選挙法

法令によっては書いてあることが他の法令と重複している部分もあります。

なので、この記事では国家公務員(国家公務員法、人事院規則、公職選挙法)と地方公務員(地方公務員法、公職選挙法)に分けて解説します。

国家公務員に禁止・制限されている選挙運動

まずは国家公務員に禁止・制限されている選挙運動から解説します。

国家公務員は、国家公務員法の第102条で「政治的行為」の制限が明記されています。

(政治的行為の制限)
第百二条 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
②職員は、公選による公職の候補者となることができない。
③職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。

出典:国家公務員法|e-Gov法令検索より引用

国家公務員法では、立候補したり、政党の役員になったりすることが禁止されていますね。

また、「政治的な目的で、人事院規則に定める政治的行為をしてはいけない」と書いてありますが、人事院規則に定めている政治的行為がコチラ↓

政治的行為
  1. 公私の影響力を利用する
  2. 職務や給与に関して利益を得ようとしたり、不利益を与えようとする
  3. 賦課金などの金品を求めたり受領したり、これらの行為に関与する
  4. 3の金品を国家公務員に与える
  5. 政治団体の結成を企画・参与等をしたり、団体の役員になったりする
  6. 特定の政党などの構成員になるように(orならないように)勧誘する
  7. 政党の機関誌を発行・編集等をする
  8. 特定の選挙や国民審査で投票するように(orしないように)勧誘すること
  9. 署名運動を企画したり参与等する
  10. 多数の人の行進・示威運動を企画したり指導したりする
  11. 集会で拡声器などを使い、政治的な意見を言う
  12. 政治的目的のある文書などを庁舎に掲示する
  13. 政治的目的のある署名文書などを発行したり掲示する
  14. 政治的目的のある演劇を演出・主宰したりする
  15. 政治的な旗や腕章などを製作したりする
  16. 15のものを勤務時間中に着用する
  17. 1~16の禁止・制限を免れる行為をする

以上の17の行為が、国家公務員には禁止されたり制限されたりしています。

国家公務員法から引用しましたが、公職選挙法でも公務員の選挙運動が制限されています。

(公務員等の地位利用による選挙運動の禁止)
第百三十六条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。
一 国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員
二 沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員(以下「公庫の役職員」という。)(以下略)

出典:公職選挙法|e-Gov法令検索より引用

公職選挙法でも、公務員という地位を利用して選挙運動することができないと書いてあります。

一方、地方公務員ではどのような選挙運動が禁止・制限されているのでしょうか。

地方公務員に禁止・制限されている選挙運動

地方公務員は、地方公務員法の第36条で「政治的行為」の制限が明記されています。

(政治的行為の制限)
第三十六条 職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となつてはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。
2 職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、次に掲げる政治的行為をしてはならない。(以下略)

出典:地方公務員法|e-Gov法令検索より引用

※長いので、後半部分を省略しております

特定の政党など支持・反対したり、特定の人などを支持・反対する目的で、「政治的行為」をすることを禁止していますね。

ここでの「政治的行為」はコチラ↓

政治的行為
  1. 投票するように(orしないように)勧誘する
  2. 署名運動を企画したり参与などをする
  3. 寄付金などの金品の募集に関与する
  4. 文書を地方公共団体の庁舎などに掲示する
  5. 1~4以外で、条例で定める政治的行為

また、国家公務員と同じように、地方公務員も公職選挙法で選挙運動を制限されています。

地方公務員も地位を利用して選挙運動をしたりすることが禁止されているということ。

ただし、国家公務員と異なる部分もあります。

職員が所属する地方公共団体の区域外では、一部の政治的行為をすることができます。

(前略)ただし、当該職員の属する地方公共団体の区域(当該職員が都道府県の支庁若しくは地方事務所又は地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市の区若しくは総合区に勤務する者であるときは、当該支庁若しくは地方事務所又は区若しくは総合区の所管区域)外において、第一号から第三号まで及び第五号に掲げる政治的行為をすることができる。(以下略)

出典:地方公務員法|e-Gov法令検索より引用

区域外でできる政治的行為はコチラ↓

  • 投票するように(orしないように)勧誘する
  • 署名運動を企画したり参与などをする
  • 寄付金などの金品の募集に関与する
  • 別に条例で定める政治的行為

あくまで【区域外】での行為となります。

特定公務員に禁止されている選挙運動

公務員の中でも「特定公務員」の職員は、公職選挙法の第136条で、選挙運動が全面的に禁止されています。

「特定公務員」と呼ばれるのは以下の公務員です。

特定公務員
  1. 中央選挙管理会の委員、中央選挙管理会の総務省職員
  2. 参議院合同選挙区選挙管理委員会の職員、選挙管理委員会の委員・職員
  3. 裁判官
  4. 検察官
  5. 会計検査官
  6. 公安委員会の委員
  7. 警察官
  8. 収税官吏、徴税吏員

これらの特定公務員は、在職中の選挙運動が全面的に禁止されています。

国家公務員・地方公務員・特定公務員の他にも、選挙運動が制限・禁止されている人がいます。

公立学校の教育公務員は、公職選挙法だけでなく教育公務員特例法でも選挙運動を制限されています。

また、選挙事務関係者教育者(私立・公立関係なく)等の人たちも公職選挙法で選挙運動が制限されています。

禁止・制限されている選挙活動を行うとどうなる?

選挙運動が禁止・制限されている公務員が、選挙運動を行うとどうなるのでしょうか。

国家公務員や地方公務員が、公職選挙法で禁止・制限されている選挙運動を行うと【2年以下の禁錮、または30万円以下の罰金】の罰則(公職選挙法第239条の2)。

国家公務員が、国家公務員法で禁止・制限されている選挙運動を行うと【3年以下の禁錮、または100万円以下の罰金】の罰則(国家公務員法第111条の2)。

※地方公務員法では、違反した場合の罰則はありません。

また、特定公務員が、公職選挙法で禁止されている選挙運動を行うと【6ヶ月以下の禁錮、または30万円以下の罰金】の罰則(公職選挙法第241条の2)。

公正が求められる選挙で公務員が違反をしてしまうと、重い罰則があります。

公務員が選挙でできること

OKサインをしている女性の写真

公務員は政治的に中立な立場でいなければならないため、禁止・制限されている選挙運動はたくさんあります。

禁止・制限されている選挙運動をしてしまうと、罰則も。

一方、公務員であっても、18歳以上で日本国民であれば選挙権はあります。つまり投票できるということ。

法令で禁止・制限されている行為を行わず、静かに投票しに行くぶんには問題ありません。

また、地方公務員の場合は、所属する地方公共団体の区域外であれば一部の政治的行為を行うこともできます。

まとめ

公務員が選挙でできることとできないことについて解説しました。

  • 日本国民で18歳以上であれば、公務員でも原則投票できる
  • 公務員には、禁止・制限されている選挙運動が法令で定められている
  • 禁止・制限されている選挙運動を行うと、2年以下の禁錮または30万円以下の罰金となる
  • 地方公務員は、所属する地方公共団体の区域外であれば一部の政治的行為が行える

当サイトでは、現役の公務員向けに「職場ではなかなか聞きづらい・・・」と思うような内容の記事を他にも書いています。ぜひご覧ください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA