こんにちは!元公務員のろびんそんです。
9時-5時のイメージが強く、ホワイトな職業と思っている人も多い公務員。
プライベートの時間を確保するために公務員になる人も多いですよね。
しかし最近はネットやテレビの報道で、公務員の長時間労働を耳にするようになりました。
「公務員は残業代が出ないらしい」という声も多く聞くくらい。
残業はなるべくしたくないし、残業したら残業代をちゃんともらいたい。
と思っているあなたに、元公務員の私が公務員の残業の実態を解説します。
- 公務員になりたい
- 現役の公務員
- ホワイトな働き方をしたい
- 公務員の働き方の実態を知りたい
公務員はどのくらい残業している?
公務員といえば9時-5時のイメージが強いですよね。
ですが実際には残業をしている公務員は多いです。
公務員がどのくらい残業をしているのか見てみましょう。
国家公務員の残業時間
人事院が実施している「国家公務員給与等実態調査(令和5年度調査)」によると、国家公務員の残業時間は平均で220時間/年。
ただ、220時間というのは平均です。
本省だと残業時間は多く、本省以外だと残業時間は少ない傾向にあります。
本省と本省以外に分けてデータを並べてみると・・・
調査年 | 本府省 | 本府省以外 |
令和5年 | 397時間 | 179時間 |
令和4年 | 383時間 | 179時間 |
令和3年 | 358時間 | 181時間 |
どの年も本省の残業時間が長いことが分かりますね。
この数字はあくまで目安。
本省でも残業が少ない部署もあります。逆に、本省でなくても鬼のように残業をしている部署も。
サービス残業分を申告していない場合もあるので、「ふーん」くらいの感覚で見るのが良いですよ。
地方公務員の残業時間
総務省が実施している「地方公共団体の勤務条件等に関する調査(令和4年度実施)」によると、地方公務員の残業時間は・・・
- 都道府県:176.6時間/年
- 指定都市:156.4時間/年
- 市町村:137時間/年
国家公務員の残業時間よりも少ない傾向にありますね。
数字で見ると、地方公務員の中では都道府県職員の残業が多く、市町村職員の残業が少ないことが分かります。
国家公務員の残業時間と同じように、あくまで目安として見ましょう。
都道府県職員でも私のように残業ゼロの人もいれば、市町村職員でも長時間労働を強いられている人もいます。
残業時間は部署によってかなり違ってくる
公務員に限った話ではありませんが、残業の多い・少ないは部署によってかなり違ってきます。
国家公務員でも地方公務員でも、残業時間が多い傾向にあると言われているのは以下の5つの部署。
- 福祉系
- 人事系
- 財務系
- 防災系
- 健康系
もちろん、同じ部署の中でも残業の多い・少ないの差はあります。
ですが基本的に残業が多いと思っていいですね。
特に福祉系は残業が多すぎて休職者が続出している部署として有名。
福祉系の部署を希望すると必ず希望通り異動させてもらえると言われているほどです。
私は「ホワイト部署」として有名な農林水産系の部署にいました。
私が配属になった職場はどこも残業が少ないところでしたが、農林水産系であっても福祉系並みの長時間労働をしている部署も。
本当に「部署による」の一言に尽きます。
公務員の残業代ってどうやって計算するの?
公務員は残業をすると「超過勤務手当(=残業代)」が、毎月の給料と一緒に支払われます。
公務員には残業代以外にもたくさんの手当がありますが、手当の計算式がとても複雑。
ここでは、残業代がカンタンに計算できように解説していきます。
公務員の残業代(超過勤務手当)の計算式
残業代の支給額は、
1時間あたりの給与額×支給割合×勤務時間数
で求められます。
最後の勤務時間数は、単純に「何時間残業したか?」ということですが、計算が難しいのは1時間あたりの給与額と支給割合。
順番に説明します。
1時間あたりの給与額
くだけた言い方をすると「時給」です。
公務員は月給制なので、複雑な計算式で時給を求めるわけです。
1時間あたりの給与額の求め方は(給与の月額×12)÷(年間労働時間数)で計算。
自分が1年間もらう給料を、年間の労働時間数で割ってあげると出ます。
年間労働時間数は、国や自治体によって算出方法は異なりますが1800~2000時間としているところが多いです。
支給割合
通常、平日に残業をした場合の支給割合は100分の125。
つまり、残業をすると25%増しの時給になるということです。
残業をする時間帯が午後10時~午前5時だと支給割合は100分の150。50%増しになります。
「普通に働くよりも残業した方が時給が高くなる」と言われているのは、支給割合により割り増しになるからなんですね。
【実践】あなたの残業代はいくら?
それでは、実際に残業代がいくらになるか、おおよその金額を計算してみましょう。
((給与の月額×12)/1875.5時間※)×(100分の125)×(勤務時間数)
※年間労働時間数は、東京都の超過勤務手当算出時の数字を参考としました
国家公務員の場合、年間労働時間数は1875.5時間ではなく2015時間で計算すると、実際の残業代に近い数字が出せますよ◎
公務員は残業代が出ないってホント?
残業したら、ちゃんと残業代をもらいたいですよね。
しかし、残業代が出ない=サービス残業を強いられている公務員もいるようです。
実態を見てみましょう。
残業代が出るか出ないかは、上司の裁量
残業代が出るか出ないかは、上司次第と言っても過言ではありません。
私が県庁に勤めていたとき、繁忙期ということもあり残業しようとしたことがありました。
ろびんそん
この資料を完成させるために残業させていただきたいです。〆切が迫っていて・・・
あなたの仕事の仕方が悪い。みんな残業せずに仕事しているんだから、勤務時間内に終わらせるように仕事をしなさい。
上司に申し出たときには私は知りませんでしたが、職場の人は残業をしていないのではなく残業代を申請していないだけ。
つまり、サービス残業が普通の職場でした。
ただ、ちゃんとした残業なのかサービス残業かは職場によって異なります。
残業代を実際残業した分をもらっている人もいれば、私のようにサービス残業が当たり前の人もいました。
残業代が出るか出ないかは、上司によって決まるなんておかしいですよね。
でも現実は、上司次第でした。
だんだん残業代が出やすい風潮になってきている
未だにサービス残業が横行している公務員の界隈ですが、少しずつ変わってきています。
サービス残業を減らすために、普段仕事で使っているパソコンのログやタイムカードで勤務時間を管理する自治体が増えてきました。
総務省が実施している「地方公共団体の勤務条件等に関する調査(令和4年度実施)」によると、半分以上の自治体でパソコンの使用時間やタイムカードのデータを確認することで残業を管理できるようになっています。
都道府県や指定都市だと90%近くが、パソコンの使用時間等で勤務時間を管理。
ですが、実態としては夜10時まではパソコンを使って残業、10時以降はパソコンを閉じて、違う端末or紙で残業をしている職員も多かったですね。
このように、パソコンのログ管理をすり抜けるような方法でサービス残業をしている職場もあります。
残業代が出やすい風潮になってきたとはいえ、まだまだサービス残業が横行しているのが実態です。
万が一のときのために、実際の残業時間は自分でメモっておくのをオススメします。
まとめ
公務員の残業の実態について解説しました。
- 公務員の残業時間は、130~220時間/年
- 部署によって残業時間はだいぶ異なる
- 残業代の計算方法:1時間あたりの給与額×支給割合×勤務時間数
- 残業代が出るか出ないかは上司次第
- 最近は残業代が出やすい風潮になってきている
公務員の世界でも、サービス残業が減るような仕組みが確立されるのを切に願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。